文化10年(1813)閏11月、田能村竹田は、日本近世画論『山中人饒舌』を著しました。その序文で竹田は、「予山中人也(われ は さんちゅう の ひと なり)」と、世俗を離れた心境にあることを述べています。このような思いを抱き、竹田は世俗を離れた理想郷を山水画の中に詩的に表現しています。世俗と隔絶された広大な山水の風景の中で穏やかな時間が流れ、文人の憧れた閑静な書屋等での生活が描かれています。竹田に続く南画家たちも、それぞれの理想郷を描いていきました。
本展では田能村竹田が理想郷を描いた重要文化財の名品を生誕地にて「里帰り展示」するとともに、竹田に続く南画家が理想郷を描いた多彩な作品約30点を紹介し、理想郷に画家が寄せる憧れ、創意工夫に満ちた表現をご覧いただきます。
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