我が家の「じり焼き」って?!

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竹田の郷土おやつ「じり焼き」の魅力を伝えていく、じり焼きプロジェクト。(このプロジェクトの立ち上げについては、下記リンクでご覧ください。)

「じり焼き」と言っても、各家庭によって生地も具も異なり十人十色!
ということで、じり焼きの基本を探るべく、ツーリズム協会のスタッフで集まり、じり焼きミーティングを開催しました。
コロナ渦でなければ、広くお声掛けをして、皆さんが食べてきたじり焼きを焼きながら、試食する会を行いたかったのですが・・・今回は、最小メンバーで行いました。

初回ということで、基本となるレシピを味わうべく参考にさせて頂いたのが、
農林水産省の「うちの郷土料理」のサイトに掲載されていたもの。

<伝統バージョンの生地>
小麦粉・・・150g
塩・・・少々(少し多め)
水・・・340g

<現代バージョンの生地>
小麦粉・・・150g
塩・・・少々
水・・・340g
砂糖・・・10g
卵・・・1個
ベーキングパウダー・・・3g
牛乳(今回は豆乳)・・・少々

これらの材料を混ぜて、2時間ほど寝かせれば生地の素は完成です。
とても簡単!
ちなみに、今回は生地を2時間ほど寝かせましたが、30分でも冷蔵庫で一晩でも。
生地を寝かせることで、小麦粉のグルテンの進展性が増すので、生地のノビがよくなって焼いたときに、綺麗に生地が広がり、破れにくくなります。

さて、この<伝統>と<現代>の2バージョンレシピを、竹田の道の駅等で販売されている地粉と市販の薄力粉とを使って、「竹田地粉×伝統レシピ」「竹田地粉×現代レシピ」「薄力粉×伝統レシピ」「薄力粉×現代レシピ」計4種類の生地を焼き、試食しました。

『地粉』というのは、地元で収穫された原料を元に、地元で製粉された粉のこと。
「じごな」や「じご」と呼ばれており、その多くは中力粉なのだそうです。
竹田で育ったスタッフは、「おばあちゃんがこの地粉でうどんを作ってくれたなぁ」と聞かせてくれました。

海外からの小麦粉が主流の今、地元で収穫された粉が味わえることは、とても贅沢だなと感じます。

まず一番シンプルな<伝統>レシピで。
地粉と薄力粉、焼いているときのジリジリ感が違う!
試食してみると同じ小麦粉でも、こんなに変わるの?!と皆、驚くほど。
地粉は、もっちりとしていて、薄力粉はぷるんとした食感に。

この段階で、「うちは地粉でしたねー。」「うちは薄力粉だったかも。」と
スタッフそれぞれの家庭のじり焼きの生地について舌の記憶が蘇ります。
焼いているときに、生地から染み出てくる黒砂糖の甘い香りも子供の頃を想い出すたまらない香り!

続いて、<現代>レシピを。
卵は、竹田の道の駅でも販売されている地元の卵で。

この現代レシピの地粉バージョンの生地を食べたときに、あるスタッフは「うちで昔食べてたものに近い!」と。
さらに、薄力粉バージョンの生地を食べると「あ、いや、さらにこっちの感じが近いです!」と声を上げ、「もう少し生地が厚かったかなぁ・・・」「生地に甘みがあったかな。。。」と
懐かしの味を思い浮かべていました。
こういう過去の記憶と繋がるのが、今、改めてじり焼きにフォーカスする醍醐味でもあります。

この生地だけでなく、形状もくるくる巻いていたという家庭もあれば、
薄くて丸いパンケーキのような形に焼いて、
それを包丁でカットして食べていたという家庭も。
焼きあがったものをちぎって自分で巻いて、そこにお砂糖をつけていたという
スタッフもいました。

卵が入っていた、入っていなかった。
中身は、黒砂糖だった、砂糖だった、何も入っていなかった、紫蘇だったなどなど・・・
家庭のじり焼きの記憶も様々で、どれが正解!ではなく、「どれも正解!」で、それぞれにそれぞれのじり焼きの想い出があることが、とても魅力的だなと感じました。

と同時に、どのじり焼きを皆さんに食べて頂けるように持っていくのか、そのレシピ、配合を絞っていくのはなかなか難しくなりそう。。。
美味しい悩みの渦に入っていきそうです。

また、道の駅で販売されていた大葉や高菜のお漬けものを巻いてみたのですが、シンプルながらもとても美味しい。
じり焼きの生地に巻けば、様々な竹田の食材の魅力を伝えられる!と、じり焼きの包容力の広さも感じられたじり焼きミーティングでした。

    

記事:齊藤美絵(ツタエルヒト。フードマエストロ)
写真:齊藤美絵、竹田市観光ツーリズム協会