竹田の郷土おやつ・じり焼き
2021年10月06日
「じり焼き」
竹田で親しまれてきた昔懐かしいおうちのおやつ。
小麦粉(地粉)を水で溶いて、フライパンに薄くのばして焼き、黒砂糖を乗せてくるくると巻いたもの。
「じりじり焼く」からじり焼き。
小麦粉を水で溶いた生地が「じりぃ=ゆるい」からじり焼き。
と、その名前の由来は諸説あります。
同じ豊肥地区の豊後大野市でも、「じり焼き」という名で、大分の他のエリアでは、「ひやき」や「へこ焼き」という名前などで親しまれている小麦おやつ。
大分県では、米の栽培が十分ではなかった時代に、小麦の生産が多く、このじり焼き以外にも、「やせうま」や「だんご汁」、「酒まんじゅう」と言った粉食文化が根付いており、その中でも、じり焼きは、農作業で忙しいときに、お腹を空かせた子どものためにお母さんやおばあちゃんが、ササッと作ってくれたおやつだったそうです。
竹田で「じり焼き」のことを話題にすると、
皆さん、「昔、お母さんが作ってくれたわぁ~」とか
「うちは黒砂糖なんかはいっちょらんかった。」
「うちは卵がはいっちょったかな~鶏、こうちょったけん。(飼ってたから。)」と、
様々に想い出エピソードを聴かせてくれます。
そんな風に、じり焼きの話を聞いていくと、
最初に書いた「小麦粉(地粉)を水で溶いて、フライパンに薄くのばして焼き、
黒砂糖をのせて巻いた」というレシピも、
あくまでも、一般的に言われているもので、
その家庭ごとに、材料も、作り方も、完成形も違うようなんです。
竹田のお母さん達が、忙しい中でも、子ども達に喜んでもらおう。お腹を満たしてもらおう。と手作りしていた愛情おやつ。
竹田市観光ツーリズム協会では、そんな温かい想いのある郷土おやつ「じり焼き」にフォーカスし、大切なことを伝え継ぎ、竹田を訪れる方はもちろん、竹田で暮らす方、竹田のご縁で繋がる方々に楽しんでもらいたいと考えました。
●じり焼きを皆さんにどう味わって頂くか。
●じり焼きに込められた竹田のお母さん達のエピソードを伝えたい。
この2つを軸に、これからじり焼きプロジェクトとして、こちらのコラム等で発信していきます。
ゴールは、竹田の郷土おやつとして、皆さんに味わって頂けるようにすることと、じり焼きのエピソードから、大切にしたいことを見つけ、伝えていくこと。
その道のりに、様々な出逢いや発見、嬉しい何かがあるといいなと想像しています。
じり焼きと聞いて、忘れられないエピソードがあるという方や、うちのじり焼きが最高!など、じり焼きに関しての情報などもお待ちしております。
竹田市観光ツーリズム協会までお寄せいただければと思います。
旅とは、その土地の、自然・文化・歴史・人の温かさに触れることで、自分の中に宿る何かと繋がり、見つめ直すきっかけになったり、英気を養ったり、日常への感謝で満たされたり、解き放たれるような心地になったりするものです。
旅の形も様々に変わる今、この竹田の地に訪れる方にとっても、遠くからこの文を読んで下さっている方にとっても、竹田に暮らす方にとっても、何か心に大切なものが残るような、あたたかい旅をお届け出来たらと願い、
スタートしたいと思います。
どうぞよろしくお願い致します。
記事:齊藤美絵(ツタエルヒト。フードマエストロ)
写真:齊藤美絵、竹田市観光ツーリズム協会